1. 今日の相談
「電話が、ほんとうに苦手なんです。かける前は『あれとこれを聞こう』と思ってるのに、相手が出た瞬間に頭が真っ白。とりあえず一つ目の用件だけ話して切って、『あっ、納期のこと聞くの忘れた…』って気づくのは、いつも切ったあとなんです。かけ直すのも気まずくて」
電話の苦手は、とてもよく聞く相談です。メールと違って、電話は待ったなし。考えながら書き直すことができないから、頭の中だけで組み立てようとすると、緊張で飛んでしまう。それは能力の問題ではなく、準備の道具がないだけです。
今日やるのは、かける前の5分で「話すことメモ」を作っておくこと。それだけです。
2. 大丈夫です
ほー先輩:電話が苦手なんは、恥ずかしいことやないで。プロのオペレーターさんかて、手元に台本があるんや。あなたも、かける前に3つだけメモしとく。見ながら話してええんやから。
話すことメモは、長い台本ではありません。必要なのは、たった3つです。
- 目的——何のためにかけるか(ひとこと)
- 確認したいこと——聞きたいこと・伝えたいこと(箇条書き)
- 次の行動——電話のあと、どちらが何をするか
この3つが手元にあれば、頭が真っ白になっても、メモに目を落とせば戻ってこられます。言い忘れも、切る前にメモを見て「確認したいことは全部聞けたか」をチェックすれば防げます。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 用件の走り書きを、「目的・確認したいこと・次の行動」の3つに整理してもらいます。
相手の名前・会社名は、貼る前に「A様」「B社」に置き換えます。電話番号はAIに渡す必要がないので、削除するか伏せ字に。メモが完成したら、AIの画面には実名を戻さず、必要なときだけ電話の直前に、紙のメモや職場で承認された記録のほうへ書き足します。
4. 実際にやってみる
ステップ1:用件を、思いつくまま走り書きする
順番も文章も気にしなくて大丈夫。頭にあるものを全部出します。
B社に電話
頼んでた備品まだ届かない いつ届くか
数が変わるかも 10個→12個にできるか
請求書の宛名の話もあったような…
「あったような…」レベルの曖昧なものも、そのまま書いてOKです。
ステップ2:ChatGPTに、このまま頼む
次は、これから電話で話したい用件の走り書きです。 「目的」「確認したいこと」「次の行動」の3つに整理して、話すことメモを作ってください。 確認したいことは、聞きやすい順番の箇条書きにしてください。 走り書きにない用件は、付け足さないでください。 曖昧なメモ(「〜だったような」)は、「確認したいこと」に質問の形で入れてください。
(ここに、置き換えを済ませた走り書きを貼る)
ステップ3:メモを手元に置いて、かける
できたメモを、紙に書くか画面に出して、見ながら話します。見ながら話すのは、ずるではありません。ていねいな準備です。
切る前にひと呼吸——「確認したいこと」に全部チェックがついたか、メモを見てから「では、失礼します」。電話のあとは、決まったこと(次の行動)をメモの下に1行足しておくと、そのまま申し送りや自分の控えになります。
ほー先輩:切る前の「ひと呼吸」がええ仕事するんや。メモをちらっと見て、聞き忘れゼロを確かめてから切る。これで、かけ直しの気まずさとはお別れやで。
5. 完成例
架空の内容で見てみましょう。
ビフォー(走り書き)
B社に電話
頼んでた備品まだ届かない いつ届くか
数が変わるかも 10個→12個にできるか
請求書の宛名の話もあったような…
アフター(ChatGPTが整理した話すことメモ)
【目的】
注文した備品の納期確認と、数量変更の相談
【確認したいこと】
□ 備品はいつ届く予定か
□ 数量を10個から12個に変更できるか(できる場合、納期は変わるか)
□ 請求書の宛名について、こちらから伝えることがあったか
【次の行動】
要確認:電話のあと、誰が何をするかを、通話の中で確認する
走り書きが、上から順に話すだけのメモになりました。曖昧だった請求書の件も、「あったか?」と聞く形で残っています。「次の行動」は走り書きに書いていなかったので、AIが勝手に決めずに「通話中に確認する」と残してくれました。電話の途中で頭が飛んでも、ここに戻ればだいじょうぶです。
6. 使ってみた感想
いちばん変わるのは、電話をかける前の気持ちです。「ちゃんと全部言えるかな」という不安が、「メモがあるから大丈夫」に変わります。緊張しても、メモに目を落とせば続きから話せるので、安心しやすくなります。
意外と効くのは、曖昧な用件を質問の形にしてくれること。「あったような…」のまま電話すると結局聞けませんが、「伝えることがあったか?」という質問になっていれば、口に出せます。
ひとつだけ注意を。メモの内容が正しいかは、かける前に自分の目で確認してください。特に数量や日付は、元の注文書やメールと照らして。メモの形はAI、中身の事実は自分。ここはいつもの分担です。
7. 今日できたこと
- 電話の用件を「目的・確認したいこと・次の行動」の3つに整理できた。
- メモを見ながら話す・切る前にチェックする、という電話の型を覚えた。
- 相手の名前や会社名を置き換えてからAIに渡せた。
次の電話も、かける前の5分から。だんだん、電話の前の深呼吸が短くなっていきます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:電話が苦手な人は、たいてい「ちゃんと話さなあかん」と思いすぎてるんや。ちゃんと話すんやなくて、ちゃんと準備する。3つのメモを作って、見ながら話して、切る前にひと呼吸。それができたら、電話はただの道具に戻るで。今日もようかけたな。
やさしいAI仕事術