1. 今日の相談
「フリーで仕事を始めて、ホームページを作っているんです。でも『自己紹介』のページで完全に手が止まって。経歴を並べると履歴書みたいに堅いし、『お客様に寄り添う〜』みたいに書くと、どこかで見た宣伝文句になる。自分のことなのに、自分の言葉が一番出てこないんです」
紹介文は、自分のことだから難しい文章の代表です。近すぎて、何が魅力なのか自分では選べない。だから堅くなるか、借り物の宣伝文句に逃げるかの二択になります。
今日は、事実のメモから等身大の紹介文を作ります。作り方は求人の文面と同じ思想——「事実だけ・盛らない」が、いちばん伝わります。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。紹介文が書けへんのは、あなたに中身がないからやのうて、自分で自分を選べないだけや。事実を全部書き出して、選んで並べるのをAIに手伝ってもらお。ほんで約束——事実にないことは、一行も足させません。
線引きを最初に。
- 事実にない実績・肩書き・お客様の声を、AIに作らせません。「多くのお客様に選ばれています」——実態のない一行が、信用を静かに削ります
- 資格・許認可・実績の表記は正確に。正式名称・取得年を自分で確認して書きます。士業・医療・美容など、広告の表現にルールがある業種の方は、業界のルールに合っているかを別途確認してください
- お客様とのエピソードを使う場合は、相手が特定できない形に。承諾なく個別の事例は書きません
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 事実のメモを、読みやすい紹介文の形に並べ直してもらいます。
4. 実際にやってみる
ステップ1:「事実だけ」を箇条書きで出し切る
うまく書こうとせず、事実を並べます。
【架空の例・出張パソコン相談】
・仕事:個人宅と小さなお店向けのパソコン・スマホ相談
・始めて3年目。前職は電器店の売り場に10年
・よく頼まれること:プリンタがつながらない・スマホの容量・年賀状づくり
・心がけ:専門用語を使わずに説明する。直すだけでなく「次から自分でできる」ように
・正直なところ:営業は苦手。紹介とリピートのお客様が多い
「正直なところ」を1つ入れるのがコツです。等身大の一行が、文章全体を信じられるものにします。
ステップ2:ChatGPTに、並べ直しを頼む
仕事の紹介文(ホームページの自己紹介ページ用)を作ります。事実のメモを渡します。 ①メモにある事実だけを使ってください。実績・肩書き・お客様の声を推測で足さないでください。 ②「どんな仕事か→どんな人か→心がけ→ひとこと」の順で、300字前後にしてください。 ③「お客様に寄り添う」「安心と信頼」のような決まり文句を使わず、メモの具体的な事実で伝えてください。 ④誇張した表現(No.1、最高、絶対など)は使わないでください。
【事実のメモ】(ここに貼る)
ステップ3:事実確認をして、声に出して読む
- メモにないことが足されていないか、一行ずつ確認します。足されていたら削る
- 資格・経歴の年数・正式名称を、手元の書類で確認
- 最後に声に出して読む——自分の声で違和感がなければ、それがあなたの文章です
5. 完成例
架空のメモから、こんな紹介文になります。
アフター(ChatGPTが整えた紹介文・抜粋)
個人のお宅と小さなお店向けに、パソコンとスマホの出張相談をしています。
前職は電器店の売り場に10年。独立して3年目になります。
多いご相談は、プリンタがつながらない、スマホの容量がいっぱい、
年賀状づくり。専門用語を使わずに説明すること、直して終わりではなく
「次はご自分でできる」ようになってもらうことを心がけています。
営業は正直苦手で、ご紹介とリピートのお客様に支えられています。
どこにも「寄り添う」「安心」と書いていないのに、人柄が伝わる——具体的な事実は、決まり文句より雄弁です。
載せる場所別の紹介文例(そのまま使えます)
[ ] の中を、確かめられる事実に入れ替えてください。実績を盛る必要はありません。事実のほうが強く伝わります。
① Webサイトの「私たちについて」(少し長め)
[誰に向けて][何を]しています。
[始めた経緯を1〜2行。前職・きっかけなど]
よくいただくご相談は、[相談内容1]、[相談内容2]、[相談内容3]です。
[大事にしていること。「〜します」という行動で書く]
[営業時間・対応範囲・連絡方法]
② 短いプロフィール(SNS・名刺・紹介ページ)
[肩書き・仕事内容]/[対応地域・対象]
[経験年数や背景を一言]
[得意なこと・よく相談されること]
[連絡先・リンク]
③ 会社・事業所の紹介(社外向け)
[会社名]は、[誰に][何を]提供しています。
【事業内容】[具体的に]
【所在地】[住所]
【設立】[年]
【対応地域】[範囲]
[大事にしている方針を1〜2行。抽象語ではなく行動で]
④ 求人票・募集ページに載せる紹介
[会社名]は[事業内容]をしています。[規模・人数]の職場です。
【一緒に働く人】[何人・どんな役割の人がいるか]
【一日の流れ】[時刻]〜[やること]の例
【この仕事の大変なところ】[正直に1つ]
【向いていると思う人】[具体的な行動で]
「大変なところ」を書くと、応募後のミスマッチが減ります。良いことだけ書くと、早期離職につながります。
⑤ 取引先へ送る会社案内メール
[会社名]の[氏名]と申します。
弊社は[誰に][何を]しております。
[実績・対応範囲を、確かめられる範囲で]
[相手にとって関係のある一点]についてお役に立てるかと存じ、
ご連絡いたしました。
詳しくは[Webサイト/資料]をご覧ください。
⑥ 短い一文(一行紹介)
[対象]の[困りごと]を、[方法]で解決しています。
紹介文で気をつけたいこと
- 「寄り添う」「安心」「丁寧」だけ— どの店も書いています。何をするから安心なのかを書きます
- 確かめられない実績(「地域No.1」「満足度99%」)— 根拠がないと景品表示法で問題になり得ます。出典を書けないなら載せません
- 専門用語だけで説明— 相手が分からない言葉は、伝えていないのと同じです
- できることを広く書きすぎる— 「何でもやります」は、何も伝わりません。よくある相談を3つ挙げるほうが響きます
- 連絡方法がない— 読んで興味を持った人が、次に進めません
- 他社との比較で持ち上げる— 自分たちの事実だけで書きます
- 更新しない— 経験年数や対応範囲は変わります。年に一度は見直します
6. 使う前に確認したいこと
この使い方の値打ちは、紹介文が会う前の期待と、会った後の実際を一致させることです。盛った紹介文は初回の失望に、等身大の紹介文はリピートにつながります。
守る線をもう一度。事実にないことを足させない。資格・実績は正確に(広告表現にルールのある業種は業界ルールを確認)。個別のお客様の話は特定できない形でだけ。書き上がったら誤字・敬語のチェックを通してから公開を。
7. 今日できたこと
- 「堅い経歴書か盛りすぎ宣伝か」の二択から出て、事実で自分を紹介できた。
- 事実にないことを足させない・資格表記は正確に、という信用の守り方が分かった。
- 「正直なところ」の一行が、文章全体の説得力になることを知った。
紹介文は一度作れば終わりではありません。仕事が変わったら、事実のメモを更新するだけです。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:自分を大きく見せる文はな、書いてる本人がいちばんしんどいねん。等身大の紹介文は、書いた後が楽やで——「書いてあった通り」でええんやから。あなたの3年間の事実は、借り物の宣伝文句より、ずっと強い。
やさしいAI仕事術