1. 今日の相談
「パートさんの募集を出すことになったんです。でも、いざ書こうとすると『アットホームな職場です』みたいな決まり文句しか出てこない。かといって条件だけ並べると、そっけなくて誰の目にも留まらない気がして。うちの職場、ほんとにいいところなんです。それを盛らずに伝える言葉が見つからなくて」
求人の文面は、多くの小さな事業所で「文章が得意な誰か」に任される仕事です。そして難しいのは書く技術より、「正直さ」と「魅力」の両立。盛れば入ったあとのミスマッチになり、そっけなければ読まれません。
今日は、AIと一緒に正直で感じのよい募集文面を作ります。ただしこの記事は、他の記事より「AIに触らせない部分」がはっきり決まっています。先にそこから。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。ただ今日は最初にルールや。求人文は、読んだ人の人生の選択に関わる文章。給与・勤務時間・休日・仕事内容・資格要件などの労働条件は、承認された事実をそのまま書き写すだけ。AIに決めさせも、補わせも、誇張させもしません。AIに手伝ってもらうのは、おたくの職場の日常を読みやすい順番に並べ直すとこだけや。
理由をはっきりさせておきます。
- 労働条件は正確さがすべてです。AIが「見栄えのため」に語尾や数字の見せ方を変えるだけでも、実際と違う求人になりかねません。条件のブロックは、職場で承認された内容の転記だけ
- 事実にないことを足させない。「風通しのよい職場」「充実の研修制度」——実態のない言葉は、入った人の失望に変わります
- 性別・年齢・国籍・家族状況などを理由に応募者を不当に限定したり、差別につながったりする条件や表現を避けます。ここはAI任せにせず、掲載前に採用責任者と労務専門家が、最新の法令と掲載媒体の要件に照らして最終確認します
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 職場の日常メモを、求人の「職場紹介」部分の文章に整えてもらいます。労働条件は入力しません。
職場で使ってよいか(承認された環境か)の確認も、いつもどおり。
4. 実際にやってみる
ステップ1:職場の「ふつうの一日」を箇条書きにする
宣伝文句ではなく、日常の事実をメモします。働く人の顔が浮かぶのは、こういう細部です。
・子どもたちが学校から帰ってくる15時前が、一日でいちばん賑やか
・経験年数の違うスタッフが働いていて、お昼に短い引き継ぎの時間を設けている
・分からないことは、その日のリーダーにすぐ聞ける
・行事の企画は、やりたい人が手を挙げる方式
・大変なこと:予定通りに進まない日も多い。柔軟さが必要
事業所名・住所・スタッフや利用者の名前は書きません。そして「大変なこと」を1つ入れるのがコツです。正直さは、文章のいちばんの魅力になります。
ステップ2:ChatGPTに、紹介文への整えを頼む
スタッフ募集の「職場紹介」の文章を作ります。渡すのは職場の日常メモです。 ①メモにある事実だけを使って、働く一日が目に浮かぶ紹介文にしてください。 ②メモにない魅力・制度・雰囲気を、足さないでください。 メモにない条件・効果・応募者像も、決めたり補ったり誇張したりしないでください。 ③「アットホーム」「やりがい」のような抽象的なほめ言葉ではなく、メモの具体的な事実で伝えてください。 ④大変な面も、隠さずやわらかく含めてください。 ⑤給与・勤務時間などの労働条件には、一切触れないでください。 判断できない箇所は、推測せず「要確認」と書いてください。
【職場の日常メモ】(ここに貼る)
ステップ3:事実確認をして、条件ブロックは自分で組む
- 出てきた紹介文を読み、メモにない内容が足されていないかを一行ずつ確認します。足されていたら削る
- 労働条件(給与・勤務時間・休日・仕事内容・資格要件など)は、職場で承認された一覧をそのまま別ブロックとして置き、元資料と一項目ずつ照合します
- 最後に採用責任者と労務専門家の確認へ。差別につながる条件や表現がないか、最新の法令と掲載媒体の要件に合っているかを確認してから掲載します
5. 完成例
架空の例で見てみましょう。ステップ1のメモから、こんな紹介文になります。
アフター(ChatGPTが整えた職場紹介・抜粋)
15時前、学校から子どもたちが帰ってくると、事業所は一日でいちばん
賑やかな時間になります。
経験年数の違うスタッフが働いていて、お昼に短い引き継ぎの時間を
設けています。分からないことは、その日のリーダーにその場で
聞けます。行事の企画は、やりたい人が手を挙げる方式です。
正直にお伝えすると、予定通りに進まない日もよくあります。
その日の状況を確認しながら、職員同士で相談して対応しています。
これは架空の完成例です。実在する施設や人物の情報は使っていません。このあとに、承認済みの労働条件ブロック(給与・勤務時間・休日・仕事内容・資格要件など)を元資料からそのまま転記して並べれば、求人文面の下書きが完成です。
6. 使う前に確認したいこと
この使い方の値打ちは、決まり文句ではなくあなたの職場にしかない日常で募集できることです。具体的な事実が書かれていると、応募する前に働き方を想像する材料になります。
守る線を最後にもう一度。労働条件は承認済み事実の転記だけ。AIに条件や魅力を決定・補完・誇張させない。差別につながる条件や表現を避ける。掲載前に採用責任者と労務専門家が、最新の法令と掲載媒体の要件に照らして確認する。求人は職場の顔であると同時に、応募者との最初の約束です。約束は正確に。
掲載前の誤字チェックには誤字・敬語のAIチェックがそのまま使えます。
7. 今日できたこと
- 「定型文か盛りすぎか」の二択から出て、日常の事実で職場を紹介できた。
- 労働条件はAIに触らせず転記だけ、という一番大事な線を引けた。
- 掲載前の確認ルート(採用責任者→媒体基準・労務専門家)が分かった。
次の募集からは、日常メモを更新するだけで正直な求人文が作れます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:「アットホームな職場です」って書いてある求人、よう見かけるやろ?おたくの「15時前がいちばん賑やか」は、おたくにしか書けん一行や。正直な言葉がいちばん強い——求人も、仕事も、同じやで。
やさしいAI仕事術