1. 今日の相談
「初めて採用面接を担当します。前任者の質問メモがなく、その場の会話で進めるしかありません。ネットの質問例には家族や性格の話も混ざっていて、何を聞いてよいのか不安です」
採用面接では、会話を盛り上げることより、求人職種の職務遂行に必要な適性・能力を、応募者全員へ共通の軸で確認することが大切です。AIには応募者を評価させず、質問のたたき台づくりだけを頼みます。
2. 大丈夫です
ほー先輩:応募者のことをAIに教えんでも、質問は作れるで。渡すんは「この仕事で何をするか」「どんな力が必要か」。まず仕事の側を整理しよか。
厚生労働省は、公正な採用選考の基本として、応募者に広く門戸を開き、本人の適性・能力に基づいて選考することを示しています。適性・能力に関係のない事項を質問で把握すると、就職差別につながるおそれがあります。
3. 今日使うAI・道具
- ChatGPT … 架空化した仕事内容と必要な力から、共通質問のたたき台を作ります。
- 厚生労働省「公正な採用選考」資料 … 質問してよい内容か、採用責任者が最終確認します。
履歴書、職務経歴書、応募者の氏名・年齢・写真・回答内容はAIへ入力しません。AIに評価、順位付け、合否、性格や健康の推測もさせません。
4. 実際にやってみる
ステップ1:仕事の側を3項目で書く
職種:店舗の受付スタッフ(架空例)
主な仕事:予約確認、来店案内、簡単な入力、担当者への引き継ぎ
必要な力:事実を正確に確認する/分からない時に相談する/基本的なPC入力
ステップ2:共通質問のたたき台を頼む
次の仕事内容と必要な力だけを使い、採用面接で応募者全員に共通して聞く質問のたたき台を8問作ってください。 質問は、求人職種の職務遂行に必要な適性・能力、経験、仕事の進め方を確かめる内容に限定してください。 本籍・出生地、家族、住宅・生活・家庭環境、宗教、支持政党、人生観・思想、尊敬する人物、労働組合、購読媒体、結婚・妊娠・出産予定、合理的な必要性のない健康情報は聞かないでください。 応募者の評価、順位付け、合否の提案はしないでください。 この列挙だけで公正・適法と判断せず、年齢・性別による差別の禁止、障害者差別の禁止と合理的配慮を含む最新の採用ルールを、採用責任者が別途確認できるよう注意書きを添えてください。 各質問に「この仕事の何を確認する質問か」を一行添えてください。
【仕事内容と必要な力】(ここに貼る)
ステップ3:共通の評価軸と、必要な配慮を確認する
採用責任者と面接担当者が、厚生労働省の最新資料と照合します。質問の意図、回答の記録方法、評価基準を事前に共有し、面接官が変わっても同じ軸になるようにします。一方で、質問の伝え方、面接時間、回答方法や伝達手段は、応募者から申し出のあった合理的配慮に応じて調整します。「評価軸をそろえること」と「方法を一律にすること」は同じではありません。
5. 完成例
1. 予約内容と画面の情報が違うとき、どのような順番で確認しますか。
確認する力:事実確認と相談の手順
2. 分からない問い合わせを受けた場面で、どのように対応した経験がありますか。
確認する力:抱え込まず引き継ぐ力
3. PCへの入力で、間違いを減らすためにしていることを教えてください。
確認する力:基本的な入力と見直し
これは架空の職種例です。質問への模範回答や点数をAIに決めさせず、職場が仕事内容に基づいて確認します。
6. 使う前に確認したいこと
避けるべき事項は、面接だけでなく応募用紙や事前アンケートでも把握しないようにします。厚生労働省の「採用選考時に配慮すべき事項」は少なくとも14事項を示していますが、この一覧だけで採用ルールの全てを確認したことにはなりません。年齢・性別による差別の禁止、障害者差別の禁止と合理的配慮なども含め、採用責任者が最新の公式資料を確認します。迷う質問は外し、ハローワークなどへ確認してください。
7. 今日できたこと
- 応募者情報をAIへ渡さず、仕事に関係する共通質問を準備できた。
- 私生活や思想信条へ踏み込まない線を確認できた。
- AIに評価や合否を任せず、責任者が公的資料と照合する段取りを作れた。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:面接は人を値踏みする場やなく、仕事と人がお互いを確かめる場や。仕事に必要なことを、同じ軸で、ていねいに聞けたらええで。
やさしいAI仕事術