1. 今日の相談
「AIにメールの下書きを作ってもらうと早いのですが、文章が自然なので、そのまま送ってしまいそうになります。日付や約束を間違えたら困るので、最後に何を見ればよいですか」
AIの文章は、読みやすく整っているほど正しく見えます。けれど、宛名、金額、期限、できること・できないことが元資料と一致しているとは限りません。丁寧な言葉の中に、伝えていない約束が足されることもあります。
送信前の確認は、もう一度AIへ「間違いないですか」と聞くことではありません。宛先、事実と数字、約束、機密情報、言い方、添付とリンクの六つを、人が正本と照らす作業です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:全部を一気に読み直すと見落とすで。宛先の日、数字の日、約束の日みたいに、見る目的を分けよ。
大丈夫です。文章力に自信がなくても、確認の順番があれば見られます。誤字や敬語だけでなく、「この情報はどこから来たか」「自分に決める権限があるか」を確かめます。
社外へ送る文章の責任は、AIではなく送る側に残ります。下書きを速くすることと、確認を省くことは別です。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPT、元の依頼メール、予定表、見積書などの正本です。AIには必要な情報だけを置き換えて渡します。実名、メールアドレス、顧客情報、契約内容、未公開情報は貼りません。
AIを再チェックに使う場合も、AI同士の回答一致を正しさの証明にしません。元資料との照合は人が行います。
4. 実際にやってみる
1. 宛先と関係を確認する
会社名、部署、役職、氏名、敬称、To・Cc・Bccを確認します。別の相手へ送った文面の名前が残っていないかも見ます。
2. 事実、日付、数字を元資料と照らす
日時、曜日、金額、数量、URL、住所、商品名を、一つずつ元の予定表や資料と照らします。AIの記憶や検索結果だけで直しません。
3. 約束と判断を探す
「必ず対応します」「無料で修正します」「問題ありません」のような断定に印を付けます。自分に決める権限がない約束、確認していない安全性、条件にない対応は削るか「確認して連絡します」にします。
4. 機密情報と余計な情報を確認する
相手に送る必要がない社内事情、別の顧客名、個人情報、AIへ渡した置き換え記号が残っていないか見ます。必要最小限にします。
5. 言い方を相手の立場で読む
責める、急かす、上から決めつける表現がないか確認します。ただし、期限や条件をやさしさのためにぼかしません。
6. 添付とリンクを実際に開く
ファイル名、版、アクセス権限、リンク先を確認します。「添付しました」と書いて添付がない事故は、本文を読むだけでは防げません。最後に宛先を入れ、送信します。
5. 完成例
以下は架空の送信前メモです。
【宛先】
B社 A様。Toと敬称を確認済み。
【事実・日付・数字】
打ち合わせ:7月19日(金)14時。予定表と一致。
見積金額:要確認。本文から一度外す。
【約束】
「当日中に必ず納品します」
→ 納期の承認がないため削除し、「確認後に納期をご連絡します」へ変更。
【機密情報】
社内の担当者評価が1文入っていたため削除。
【言い方】
「まだご返信がありません」
→ 「行き違いでしたら申し訳ありません」に調整。
【添付・リンク】
添付ファイルは最新版。共有リンクはB社だけが閲覧できる設定を確認。
この例では、AIが作った自然な約束をそのまま残さず、権限と元資料を確認しています。「要確認」を無理に埋めていません。
6. 使うときの注意
AIに「このメールは完璧ですか」と聞いても、入力していない事実や社内権限までは確認できません。文章の読みやすさ、誤字候補、確認観点を出す補助として使い、元資料との照合を省きません。
契約、法律、税務、医療、安全に関わる判断を含む文章は、担当者や専門窓口の確認を受けます。送信後に誤りへ気づいた場合は隠さず、職場の報告手順に沿って早めに訂正します。
誤字や敬語を重点的に見る場合は、送信前の文章チェックが使えます。AIの回答自体を確かめる方法は、AIの答えをうのみにしない確認へ。よく使う文例とプロンプトは、やさしいAI文例・プロンプト100にもまとめています。
7. 今日できたこと
- 宛先、事実、数字を元資料と照らせた。
- AIが足した約束や断定を見つけられた。
- 機密情報と余計な情報を削れた。
- 添付とリンクを実際に開いて確認できた。
AIで早く下書きを作っても、最後の確認までAIに丸投げする必要はありません。見る目的を六つに分ければ、人が責任を持って送れる文章へ仕上げられます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:送信前のひと呼吸は、遅さやなくて仕事の丁寧さやで。自然な文章ほど、元資料と照らそな。
やさしいAI仕事術