1. 今日の相談
「来週から実習生が来るんです。受け入れ担当は私。前回は、朝バタバタしながら口頭で説明して、ロッカーの場所を言い忘れて、お昼の休憩の取り方も伝え漏れて。実習生さんに『これはどこで聞けば…』って気をつかわせてしまいました。毎回その場しのぎなのを、何とかしたいんです」
実習生・新しいスタッフ・ボランティア——人を迎える初日の説明は、「迎える側の準備」が試される場面です。説明する内容は毎回ほぼ同じなのに、口頭だと毎回抜けます。そして抜けた分だけ、来た人は「聞きづらいこと」を抱えたまま一日を過ごすことになります。
今日は、初日のオリエンテーションで使う「案内の一枚」を作ります。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。初日案内はな、「何を載せるか」さえ決まれば、あとは埋めるだけなんや。その「何を載せるか」の抜けもれ防止こそ、AIの得意分野。ただし今日は大事な線があるで——おたくの職場の中身は、AIに渡さんし、AIに作らせもせん。
この線引きには理由があります。
- 初日案内には、職場の住所・電話番号・担当者名・鍵やロッカーの場所など、職場の固有情報が載ります。これらはAIに入力しません
- そして、AIはあなたの職場を知りません。それらしい住所や内線番号をもっともらしく作ってしまうことがあります。固有情報の欄は、職場で承認された正しい情報から、人が書き写す——ここは手作業が正解です
AIに頼むのは、「初日案内に載せる項目」の一般的な骨組みまで。中身はあなたが埋めます。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 初日案内に載せる項目の骨組みリストを作ってもらいます。職場の固有情報は入力しません。
職場で使ってよいか(承認された環境・アカウントか)の確認も、いつもどおり。利用者の個別支援情報、鍵・暗証番号・パスワード、緊急連絡網や事故対応の詳細は、伏せ字にして渡すのではなく今回のAI工程には入れません。
4. 実際にやってみる
ステップ1:迎える人の条件だけをメモする
渡すのは、個人も職場も特定されない一般的な条件だけです。
迎える人:福祉系の実習生(2週間・初めての現場実習)
職場の種類:児童向けの福祉事業所
案内の形:A4一枚・初日の朝に渡す
実習生の名前・学校名・あなたの事業所名は、どれも書きません。
ステップ2:ChatGPTに、骨組みを頼む
実習生を迎える「初日の案内」をA4一枚で作ります。 載せるべき項目の骨組みリストを作ってください。 ①「持ち物・服装」「一日の流れ」「場所の案内」「休憩とお昼」「困ったときに聞く人」のような分類で、項目を挙げてください。 ②具体的な住所・名前・時間などの中身は書かず、( )の空欄にしてください。 ③初日の人が「聞きづらいけど知りたいこと」(お手洗い・休憩・早退の連絡先など)を忘れずに入れてください。 ④利用者の個別支援情報、鍵・暗証番号・パスワード、緊急情報は書かないでください。 ⑤書かれていない施設の決まりや注意事項を推測して付け足さないでください。
【迎える人の条件】(ここに貼る)
ステップ3:空欄を、承認済みの情報から自分で埋める
返ってきた骨組みの空欄を埋めていきます。ここからが人の仕事です。
- 埋める中身は、職場で確認された正しい情報から書き写します。うろ覚えで書かない、AIに推測させない
- 「困ったときに聞く人」は役割名(受け入れ担当・その日のリーダーなど)で書き、掲示や配布の範囲を職場と確認してから個人名を入れるか決めます
- 鍵・暗証番号・個別支援・緊急対応はこの一枚に載せず、職場の正式な説明と承認済み資料を使います
- 完成した案内は、上司や受け入れ責任者に一度見てもらってから使います。実習の受け入れには学校側との約束ごとがあることも多いからです
5. 完成例
架空の例で見てみましょう。骨組みはこんな形で返ってきます。
アフター(ChatGPTが作った骨組み・抜粋)
【ようこそ!初日のご案内】
■ 持ち物・服装
・服装:( ) ・持ち物:( ) ・上履き:(要・不要)
■ 一日の流れ
・出勤したら:( )に声をかけてください
・午前:( ) ・お昼休憩:( 時〜 時/場所: )
・午後:( ) ・終わりの挨拶:( )
■ 場所の案内
・ロッカー/荷物置き場:( ) ・お手洗い:( )
■ 困ったとき・体調が悪いとき
・まず声をかける人:( )
・遅刻・欠席の連絡先:( )
わからないことは、どんな小さなことでも聞いてください。
「聞きづらいけど知りたいこと」が最初から項目になっているのがポイントです。この一枚があるだけで、迎える側の説明も、来た人の一日も、ぐっと落ち着きます。
6. 使う前に確認したいこと
この使い方の値打ちは、迎える準備が「担当者の記憶」から「職場の一枚」になることです。次に誰が受け入れ担当になっても、同じ質の初日を用意できます。
線引きをもう一度。職場の固有情報はAIに渡さない・作らせない。個別支援情報や認証・緊急情報はAI工程から外す。空欄の中身は承認済みの情報から人が埋める。そして完成品は受け入れ責任者の確認を通してから。作った案内を毎回使い回すときも、年度替わりには中身が古くなっていないか見直しを。
日々の作業の教え方まで整えたくなったら、手順書・マニュアルのまとめ方がそのまま使えます。
7. 今日できたこと
- 初日の説明を「毎回の口頭」から「一枚の案内」に変える準備ができた。
- 職場の固有情報を渡さずに、載せる項目の抜けもれだけAIに手伝ってもらえた。
- 固有情報は承認済みの正しい情報から人が埋める、という分担が分かった。
次の受け入れからは、この一枚を最新にするだけで迎えられます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:初日の実習生さんはな、「何を聞いていいか」すら分からん状態で立ってるんや。先回りして一枚渡せる職場は、それだけで「ここは大丈夫」って安心してもらえる。あなたが最初にもらいたかった一枚を、作ったらええねん。
やさしいAI仕事術