1. 今日の相談
「新しいサービスを始めることになりましたが、値段をいくらにすればよいか分かりません。安すぎると続けられないし、高すぎると頼まれない気がして、決められずにいます」
値段を考えるときは、いきなり金額を考えず、次の順に並べます。
- こちらにかかるもの:1件にかかる作業時間と費用を書き出し、金額に換算する
- 相手の事情:相手がいまかけている手間に加えて、予算、代わりの方法、求める品質を聞く
- 社内で検討する仮の値段:1と2を見比べて決め、少数の相手に試して見直す
2. 大丈夫です
ほー先輩:値段に正解は一つではありません。根拠を並べて仮に決めれば、あとは確かめながら直せます。
なぜ作業時間を金額にするのか:作業時間を数えただけでは、値段との比べようがありません。自分の作業時間に「1時間あたりいくら」と置いて金額にすると、その値段で続けられるかどうかを確かめられます。
なぜ相手の予算や代わりの方法も聞くのか:「時間が減る」ことと、「その金額を払う」ことは別です。相手がほかの方法で解決できるなら、その方法との比べ方も考える必要があります。
値段の表示の仕方(税の表示など)、値引きの決まり、契約の条件は、法令や職場の決まりがあります。専門家や責任者に確かめてください。この記事の計算は、社内で値段を考えるためのもので、税務上の経費の計算とは別のものです。
3. 今日使うAI・道具
- 表計算ソフト(作業時間と費用を書き出し、計算する)
- 事業の計画(誰に・何を、が分かるもの)
- ChatGPTなどの生成AI(表の項目案や、考えの抜けを見つける相談をするときだけ)
AIに「いくらにすればよいか」を決めてもらうことはしません。AIが出した金額や市場の話は、根拠になりません。
4. 実際にやってみる
1. 1件にかかる作業時間と費用を書き出す
項目|内容|1件あたり
作業の時間|準備・作業・やりとり・修正・見直し|〇時間
直接の費用|その1件のためにかかる道具・材料・交通など|〇円
共通の費用|毎月かかるソフトなどを、見込みの件数で割った分|〇円
やりとりや修正の時間は、忘れられやすいので必ず入れます。毎月かかる費用は、1件にまるごと載せず、見込みの件数で割って分けます。
2. 作業時間を金額に換算し、下限の目安を出す
自分の作業時間に、社内で考える「1時間あたりの金額」を置きます。
下限の目安 = 作業の時間 × 1時間あたりの金額 + 直接の費用 + 共通の費用の分
この下限より安いと、続けるのが難しくなります。ここに、思わぬ手間に備えた余裕を足して考えます。
3. 相手の事情を聞く
相手がいまその困りごとにかけている時間や費用、予算の上限、ほかに考えている方法、求める品質を聞きます。「月にどれくらいの時間がかかっていますか」のように、事実を聞きます。
4. 似たサービスの値段を、公開されている情報で調べる
似たサービスの値段を、公開されている料金表などで調べます。内容や含むものが違うことがあるので、そのまま比べず、参考にとどめます。
5. 社内で検討する仮の値段を決め、含むもの・含まないものを書く
1〜4を見比べて、社内で検討する仮の値段を決めます。この段階の値段は社内向けで、お客様に示す金額とは分けて扱います。あわせて、値段に含むもの・含まないもの、追加の料金がかかる条件を書きます。
6. 少数の相手に試して、見直す
お客様に示すときは、適用する金額・範囲・追加の料金の条件を確かめてから伝えます。反応と、実際にかかった時間を記録し、値段を見直します。見直した値段を、すでに約束した相手にさかのぼって当てはめることはしません。
よくある失敗
- 作業の時間だけで考え、やりとりや修正の時間を落としてしまう
- 毎月かかる費用を、1件にまるごと載せて高くしすぎる
- 「時間が減る」と言ってもらえたことを、「その金額を払う」と取り違える
- 含むもの・含まないものを書かず、あとで「それも入っていると思った」と言われる
AIへの頼み方の例
新しいサービスの値段を考えるための表の項目案を出してください。項目は「1件の作業時間(準備・作業・やりとり・修正・見直し)」「1時間あたりの金額」「直接の費用」「共通の費用の分」「下限の目安」「相手の予算」「代わりの方法」「含むもの」「含まないもの」「仮の値段」「確かめる方法」にしてください。具体的な金額は提案しないでください。
事業の計画のまとめ方は新しい事業の計画を1枚にまとめる——誰に・何を・いくらで・数字の見込み、自社の見積書の作り方は自社の見積書を早く作る——品目と単価の表を一つ持ち、選んで数量を入れる形にするにまとめています。
5. 完成例
以下は、すべて架空の数字です。実際の値段の目安ではありません。
【仮の値段の表】事務の表を整えるサービス(仮)
1件の作業時間:準備1時間・作業3時間・やりとり1時間・修正1時間・見直し1時間=7時間
1時間あたりの金額(社内で仮に置いた値):3,000円
直接の費用:1件 2,000円
共通の費用:毎月 10,000円 ÷ 見込み 5件 = 1件 2,000円
下限の目安:7時間 × 3,000円 + 2,000円 + 2,000円 = 25,000円
相手の事情:月末に2人で約2日かかっている(聞いた話)/予算は社内で確認中
社内で検討する仮の値段:下限の目安に余裕を足して考える
含むもの:表の見本、手順書1枚、説明1回 含まないもの:データの入力、2回目以降の修正
確かめる方法:2社に、適用する金額と範囲を示して提案し、反応と実際の時間を記録(11月中)
6. 使うときの注意
値段の表示(税の表示など)、値引き、契約の条件には、法令や職場の決まりがあります。専門家や責任者に確かめてください。
お客様に伝えた値段は、相手にとって約束の前提になります。伝える前に、金額・範囲・含むもの・含まないもの・追加の料金の条件を確かめてください。
7. 今日できたこと
- 1件にかかる作業時間と費用を書き出せた。
- 作業時間を金額に換算し、下限の目安を出せた。
- 相手の予算や代わりの方法を聞く準備ができた。
- 社内で検討する仮の値段と、確かめる方法を決められた。
今日は、1件の作業時間を書き出せただけでも十分です。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:根拠のある仮の値段は、説明もしやすく、見直しもしやすくなります。最初の数件を、大事に記録しましょう。
やさしいAI仕事術