1. 今日の相談
「新しいサービスを始めたいのですが、時間をかけて準備しても、うまくいかなかったらと思うと不安です。どこまで用意して始めればよいか分かりません」
この記事では、新しいサービスの需要を、少数の相手で小さく確かめる方法を扱います。試すときの順番は次のとおりです。
- 確かめたい疑問を一つに絞る
- 疑問・聞くこと・判断の目安を、同じことを指すようにそろえる
- 続ける・直す・いったん止める・判断を保留するの目安を、試す前に決める
- 試した結果を、数と事実で記録する
2. 大丈夫です
ほー先輩:話を聞いて確かめる段階なら、サービスの準備が全部そろっていなくても始められます。いちばん知りたいことを一つ確かめるだけで、次の一歩が見えてきます。
なぜ疑問と目安をそろえるのか:「困っている会社があるか」を確かめたいのに、「試したいと言うか」で判断すると、確かめたいことと判断の材料がずれてしまいます。困りごとがあるかを確かめる試しと、使ってみたいかを確かめる試しは、分けて行います。
なぜ判断の目安を先に決めるのか:試したあとに目安を決めると、結果を都合よく読んでしまいがちです。先に決めておくと、結果を落ち着いて読めます。
聞き取りと、実際に提供して試すことの違い:話を聞くだけなら、準備は聞くことのメモで足ります。実際にサービスを提供して試すときは、必要な手続き、相手の同意、途中でやめる条件を先にそろえます。
3. 今日使うAI・道具
- 表計算ソフト(試す計画と結果を書く)
- 新しいサービスの計画
- ChatGPTなどの生成AI(計画表の項目案や、聞くことの抜けを見つける相談をするときだけ)
AIに試した結果の良し悪しを決めてもらうことはしません。相手から聞いた話や実際の数は、AIに入力せず手元で扱います。
4. 実際にやってみる
1. 確かめたい疑問を書き出し、一つに絞る
・本当に、この困りごとを持っている人がいるか(困りごとの確認)
・使ってみたいと思ってもらえるか(利用の意向の確認)
・この値段で頼んでもらえるか(値段の確認)
・この作業時間で、続けられるか(運営の確認)
いちばん大事な疑問(これが外れたら、ほかも成り立たないもの)を一つ選びます。最初は「困りごとの確認」から始めることが多くなります。
2. 確かめる相手と期間を、小さく決める
「知り合いの会社3社」「2週間」のように、すぐ始められる大きさにします。
3. 疑問・聞くこと・判断の目安をそろえる
疑問 :月末の集計に困っている会社が、本当にあるか
聞くこと :月末の集計に、毎月どれくらいの時間がかかっていますか/それで困っていることはありますか
判断の目安:
続ける :3社のうち2社以上が、時間がかかって困っていると答える
直す :困っているが、集計ではなく別の作業に困っている声が多い
いったん止める:3社とも困っていない(今回の相手と仮説を見直す)
判断を保留する:話を聞けたのが2社未満
目安が二つ同時に当てはまりそうなときに迷わないよう、「続ける → 直す → いったん止める」の順に当てはめる、と決めておきます。「いったん止める」は、その困りごとがどこにもないという意味ではなく、今回の相手と考え方を見直すという意味です。
4. 試して、結果を数と事実で記録する
日付|相手(記号)|聞いたこと・起きたこと(事実)|数|自分の考え(分けて書く)
事実と自分の考えを分けて書きます。
5. 目安と照らして、次を決める
期間が終わったら、記録を目安と照らし、次を決めます。続けるときは、次に確かめる疑問(たとえば「使ってみたいと思ってもらえるか」)を一つ決め、もう一度小さく試します。
値段を確かめるときは新しいサービスの値段を決める——かかる費用・作業時間・相手の事情から、仮の値段を考えて確かめる、計画のまとめ方は新しい事業の計画を1枚にまとめる——誰に・何を・いくらで・数字の見込みにまとめています。
よくある失敗
- 疑問を絞らず、一度に全部を確かめようとする
- 確かめたい疑問と、判断の目安が別のことを指している
- 判断の目安を決めないまま試し、結果を都合よく読んでしまう
- 「いいね」と言われたことを、「頼んでもらえる」と取り違える
AIへの頼み方の例
新しいサービスの需要を、少数の相手への聞き取りで確かめる計画表の項目案を出してください。項目は「確かめたい疑問」「聞くこと」「相手」「期間」「続ける・直す・いったん止める・保留の目安」「目安を当てはめる順番」「結果(事実)」「次にすること」にしてください。
5. 完成例
以下は架空の例です。
【小さく試す計画】
疑問:月末の集計に困っている会社が本当にあるか(困りごとの確認)
聞くこと:月末の集計にかかる時間/それで困っていること
相手:知り合いの会社3社(A社・B社・C社) 期間:10月14日〜10月31日
目安(この順に当てはめる):
続ける=2社以上が困っている/直す=別の作業に困っている声が多い/いったん止める=3社とも困っていない/保留=聞けたのが2社未満
結果(事実):
A社:月末に2人で約2日かかっていて、困っていると回答
B社:集計に約1日かかり、困っていると回答
C社:すでに別の方法で解決していると回答
判断:続ける(2社が困っている)
次にすること:「使ってみたいと思ってもらえるか」を確かめる(A社・B社に、11月中)
6. 使うときの注意
試すときも、相手との約束、値段の伝え方、個人情報の扱いは、本番と同じように慎重にしてください。実際にサービスを提供して試すときは、必要な手続きと、相手の同意、途中でやめる条件を先にそろえてください。
試した結果は少ない数から分かることなので、それだけで大きく判断しすぎないようにしましょう。
7. 今日できたこと
- 確かめたい疑問を、一つに絞れた。
- 疑問・聞くこと・判断の目安を、そろえられた。
- 続ける・直す・いったん止める・保留の目安と、当てはめる順番を決められた。
- 結果を数と事実で記録する形を作れた。
今日は、確かめたい疑問を一つ選べただけでも十分です。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:小さく試して分かったことは、次に何を確かめるかを考える材料になります。一つずつ、記録しながら進めましょう。
やさしいAI仕事術