1. 今日の相談
「退職を決めました。でも、退職届と退職願って何が違うんですか。いつ、誰に、どっちを出せばいいのか分かりません。理由はどこまで書くのか、手書きじゃないとだめなのか、封筒は——調べるほど分からなくなって、手が止まっています」
退職の書類で迷うのは、気持ちの整理と紙の書き方を同時にやろうとするからです。
紙のほうは、実はいちばん形式的な文書です。日付・決まり文句・署名でほぼ完成します。あなたの事情や気持ちを書き込む欄は、最初からありません。
2. 大丈夫です
ほー先輩:まず言葉の整理からや。似た紙が三つあるけど、役割が違うんや。ここが分かったら、あとは順番どおりに進むだけやで。
一般には、次のように使い分けられます。
- 退職願……「退職させてください」というお願い。会社が承諾する前なら撤回の余地がある
- 退職届……「退職します」という通知。決定を届け出る紙
- 辞表……役員や公務員が使うもの。一般の会社員は使わない
多くの職場では、先に上司へ口頭で相談 → 会社の指示に従って書類を出すという順番になります。いきなり退職届を机に置く場面は、ドラマの中だけです。
そして大事なこと。どの紙を、いつまでに、誰に出すかは就業規則が決めています。書き方より先に、そこを確認します。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTと、次の三つです。
- 就業規則……退職の申し出期限(「退職日の◯か月前まで」など)と、提出先・様式の定め
- 会社指定の様式……ある場合はそれが最優先。自作の便箋は指定が無いときだけ
- 白い便箋・白い封筒・黒のペン……手書きの場合。パソコン作成を認める職場も増えています
AIには、実際の会社名・退職理由・人間関係を渡しません。空のひな形と確認リストを作るところまでに使います。転職先や退職理由の詳細を入力する必要は、この作業にはありません。
4. 実際にやってみる
1. 就業規則で三つを確認する
・申し出の期限(退職日の何日前までか)
・提出先(直属の上司か、人事か)
・指定の様式があるか
ここを飛ばして書き始めると、書き直しになります。就業規則が手元にない場合は、社内の掲示や人事に確認します。
2. 退職日を決めてから書く
紙に書く日付は二つあります。提出日と退職日。退職日は上司との相談で確定してから書きます。空欄のまま渡してはいけません。
3. 本文は決まり文句だけで組む
理由は「一身上の都合」——これで完成です。本当の理由が転職でも、家庭の事情でも、体調でも、紙にはこれ以上書き込みません。詳しい事情を伝えたい相手には、対話で伝えます。
4. AIへ空のひな形と確認リストを頼む
実際の会社名や退職理由を入力せずに使える、退職届の空のひな形を作ってください。
本文は「一身上の都合により」の定型とし、提出日・退職日・所属・氏名・宛名を
空欄にしてください。あわせて、提出前の確認リスト
(就業規則の期限、提出先、様式指定、コピーの保管)も付けてください。
5. コピーを取ってから渡す
提出した事実と日付を、自分の手元にも残します。スマホで撮影でも構いません。
5. 完成例
以下は一般的な形式の例です。会社指定の様式がある場合はそちらに従ってください。
退 職 届
2026年8月20日
株式会社◯◯◯◯
代表取締役 ◯◯ ◯◯ 殿
◯◯部 ◯◯課
◯◯ ◯◯ ㊞
私事、このたび一身上の都合により、
2026年9月30日をもって退職いたします。
以上
- 冒頭は「私事」または「私儀」から書き出します
- 宛名は社長名(組織の代表)、渡す相手は直属の上司——宛名と提出先は別です
- 退職願の場合は、末尾を「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」に変えます
封筒と渡し方(そのまま使えます)
① 封筒
表面:中央に「退職届」とだけ書く
裏面:左下に所属と氏名
封筒:白の無地(郵便番号枠なし)が基本。三つ折りにして入れる
② 渡すときの一言
お時間をいただきありがとうございます。
先日ご相談した退職の件、書類をお持ちしました。
ご確認をお願いいたします。
③ 上司への最初の相談の切り出し(書類より先にやること)
ご相談したいことがあります。
[15分ほど]お時間をいただけますでしょうか。
相談の場で退職の意思と希望日を伝え、書類は会社の指示に従って出します。
④ 引き継ぎの申し出
退職日までに、担当業務の引き継ぎ資料を用意します。
優先順位のご指示をいただけますでしょうか。
最後の印象は、この一言でずいぶん変わります。
退職届で気をつけたいこと
- 理由を詳しく書く——「一身上の都合」以外を書く欄はありません。不満を書けば残るのは紙だけです
- 日付を空欄で出す——退職日は相談で確定してから。空欄の紙は効力があいまいになります
- いきなり届を出す——先に口頭で相談が原則。順番を飛ばすと、こじれます
- 感情的なタイミングで出す——怒りの勢いで出した紙は、撤回が難しいことがあります
- コピーを取らない——提出の事実と日付は、自分の側にも残します
- SNSに書く——退職が成立する前の発信は、思わぬ形で職場に届きます
退職・異動の挨拶メールは、退職・異動の挨拶メールの書き方にまとめてあります。
6. 使うときの注意
退職の申し出をめぐって、引き止め・慰留・退職日の調整など、書き方だけでは解決しない場面があります。この記事は書類の一般的な書き方の説明で、労務や法律の助言ではありません。
退職を認めてもらえない、有給を消化させてもらえない、といった困りごとは、各都道府県の労働局・労働基準監督署の総合労働相談コーナー(無料)に相談できます。体調を崩している場合は、書類より先に、休むことと相談先の確保を優先してください。
実際の会社名・退職理由・人間関係を一般向けAIへ入力しません。ひな形と確認リストまでで区切ります。
7. 今日できたこと
- 退職願・退職届・辞表の違いが分かった。
- 就業規則の確認が書き方より先だと分かった。
- 本文が決まり文句だけで完成すると分かった。
- 封筒・渡し方・コピーの保管まで決められた。
紙は形式どおりに。気持ちと事情は対話で。分けてしまえば、両方とも進みます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:退職を決めるまで、ようさん悩んだやろ。せやのに最後の紙一枚でまた止まるんは、もったいない。紙はただの形式や。日付と決まり文句を書いたら、それで役目を果たす。あんたが悩んで決めたことの値打ちは、紙やのうて、次の場所でちゃんと生きるで。おつかれさん。
やさしいAI仕事術