1. 今日の相談
「毎月、月末と月初に同じような作業が重なって忙しくなります。AIや表計算で楽にできると聞きますが、どこから手を付ければよいか分かりません」
最初にするのは、AIの使い方を覚えることではなく、いまの作業を棚卸しすることです。毎月くり返す作業を一覧に書き出し、作業を手順まで分けてから、手順ごとに次の三つに分けます。
- 表計算の式に任せる所(合計、転記、並べ替えなど、決まった計算や処理)
- AIに下書きを頼む所(文章の形を整える、要点をまとめる、項目案を出すなど)
- 人が確かめる・決める所(正しいかの確認、判断、相手への約束、承認)
2. 大丈夫です
ほー先輩:一度に全部を変えなくて大丈夫です。一つの作業がうまく回れば、次の作業にも同じ考え方を使えます。
仕組みにするときに大事なのは、人が確かめる所を必ず残すことです。AIの答えも表計算の式も、間違えることがあります。どこで、誰が、何を確かめるかが決まっていれば、安心して任せられます。
3. 今日使うAI・道具
- 表計算ソフト(作業の一覧を作る)
- 毎月の作業で使っている書類・表・メールの見本(中身は人が見るだけ)
- ChatGPTなどの生成AI(一覧の項目案や、分け方の相談をするときだけ)
生成AIには、実際の顧客情報・金額・社内の事情を入力しません。作業の名前や手順の形だけを相談します。
4. 実際にやってみる
1. 毎月くり返す作業を書き出す
ひと月の間にくり返している作業を、思いつくだけ書き出します。
作業名|いつ(毎月何日ごろ)|かかる時間|担当|使う道具・書類
2. 作業を手順まで分ける
時間がかかっている作業から順に、手順を一つずつ書きます。「請求書を作る」なら、「先月の実績を集める → 金額を計算する → 書類に入れる → 見直す → 送る」のように分けます。
3. 手順ごとに、処理する方法と、人が確かめる所を別々に書く
手順|処理する方法(式/AIの下書き/人)|人が確かめる所と確かめる人
式やAIに任せる手順にも、人が確かめる所を必ず付けます。迷ったら「人が確かめる・決める」に入れておきます。相手への約束、お金、個人情報、法令や契約に関わる判断は、必ず人の側に残します。
4. 最初に仕組みにする作業を一つ選ぶ
次の二つを満たす作業から始めます。
- 毎月の手間が大きい
- 間違えたときの影響が小さく、人が確かめやすい
最初の作業が決まったら、確かめる人と、試す期間(例:2か月)を決めます。試している間は、これまでのやり方の結果と見比べます。
5. 仕組みにしたら、手順を残す
仕組みにした作業は、使う人が迷わないように手順を残します。手順の残し方は、作った仕組みを使ってもらう——使う人に合わせた1枚の使い方説明を作るにまとめています。表計算の形のそろえ方は、月末の勤怠集計を早くする——表計算を「1人1行・1日1列」の毎月同じ形にそろえるが参考になります。
よくある失敗
- 作業の名前だけを書き、手順まで分けていない
- AIや式に任せる所に、人が確かめる所を付けていない
- いきなりお金や約束に関わる作業から仕組みにする
- 試す期間に、これまでのやり方の結果と見比べない
5. 完成例
以下は架空の例です。
作業:月末の作業件数の集計(毎月25日ごろ・2時間)
手順 |式に任せる|AIに下書き|人が確かめる・決める
先月の記録を集める |○ | |集めた範囲を確かめる
件数を数える |○ | |元の記録と件数を照らす
報告の文面を作る | |○ |内容を確かめる
見直して共有する | | |○(責任者が確かめて共有)
最初に仕組みにする:件数を数える手順(手間が大きく、間違えても社内で直せる)
確かめる人:集計の担当者 試す期間:2か月(これまでの数え方の結果と見比べる)
6. 使うときの注意
AIや表計算に任せた所も、最終的な結果の責任は人の側に残ります。確かめる人と方法を決めずに任せないでください。
職場のデータを使う仕組みを作るときは、使ってよいサービス、保存場所、閲覧できる人を、職場の決まりで確かめてください。
7. 今日できたこと
- 毎月くり返す作業を一覧に書き出せた。
- 作業を手順まで分けられた。
- 手順ごとに、式・AI・人の三つに分けられた。
- 最初に仕組みにする作業と、確かめる人を決められた。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:棚卸しができると、どこを楽にできるかが見えてきます。人が確かめる所を残して、一つずつ進めましょう。
やさしいAI仕事術