1. 今日の相談
「取引先からの入金が、支払期日を10日過ぎても確認できません。督促状を送りたいのですが、強く書いて関係が壊れるのも怖いし、弱く書いて流されるのも困ります。そもそも催促のメールと督促状って、何が違うんでしょうか」
督促で手が止まるのは、「責める文章を書かなければいけない」と思ってしまうからです。
督促状の役割は、責めることではありません。請求の事実を示し、入金状況の確認をお願いし、新しい期日を提示する——この三つです。感情を入れる場所は、最初からありません。
2. 大丈夫です
ほー先輩:まず知っといてほしいんは、入金遅れの大半は「悪意」やなくて「うっかり」や。処理漏れ、担当者の休み、請求書の迷子。せやから一通目は、責める手紙やなくて「確認のお願い」でええんや。
一般に、段階はこう整理できます。
- 1段階目(期日から数日〜)……メールや電話で、入金状況の確認をお願いする
- 2段階目(1〜2週間〜)……書面(督促状)で、請求の事実と新しい期日を示す
- 3段階目……内容証明などの正式な手段を検討する(ここからは専門家に相談)
いきなり強い手段に行かないのは、優しさだけの話ではありません。行き違いだった場合に、こちらが信頼を失うからです。実際、督促状が行き違いになって「もう払ったのに」と怒らせてしまう事故は珍しくありません。だから必ず「行き違いの場合はご容赦ください」の一文を入れます。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTと、手元の記録です。
- 請求書の控え(請求番号・金額・支払期日)
- 入金記録(通帳・ネットバンキングで、発送直前にもう一度確認)
- 契約書や注文書(支払条件の確認)
AIには、実際の取引先名・金額・請求番号を渡しません。空のひな形を作るところまでに使い、中身は記録を見ながら自分で書きます。
発送直前の入金再確認が、この作業でいちばん大事な一手です。書いている間に入金されていた、はよくあります。
4. 実際にやってみる
1. 請求の事実を、記録から書き出す
・請求書番号:◯◯◯◯
・請求日:7月1日
・金額:◯◯円(税込)
・支払期日:7月31日
・8月10日時点で入金未確認
記憶ではなく、請求書の控えと入金記録から写します。ここがずれると、督促自体が崩れます。
2. 一通目は「確認のお願い」の形にする
責める言葉を使わず、事実と確認のお願いだけで組みます。「お支払いいただけていません」ではなく「ご入金が確認できておりません」——主語をこちらの確認に置くと、行き違いにも対応できる文になります。
3. 新しい期日を必ず入れる
期日のない督促は、もう一度流されます。「◯月◯日までにご入金、または お支払い予定日のご連絡をお願いいたします」——入金か、連絡かの二択にしておくと、相手は動きやすくなります。
4. AIへ空のひな形を頼む
実際の取引情報を入力せずに使える、督促状(入金のお願い)の空のひな形を作ってください。
項目は「請求内容(番号・日付・金額・支払期日)」「入金が確認できていない旨」
「行き違いへの配慮」「新しい期日と連絡のお願い」「連絡先」とします。
取引先名、金額、日付は書き込まず、空欄にしてください。
5. 発送直前に、入金をもう一度確認する
ここを飛ばして行き違いになると、取り返しに時間がかかります。確認した日時をメモに残しておくと、あとで説明できます。
5. 完成例
以下は架空の例です。実在の会社・取引とは関係ありません。
2026年8月10日
株式会社◯◯◯◯
経理ご担当者様
株式会社△△△△
経理部(連絡先:00-0000-0000)
お支払いのご確認のお願い
拝啓 平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の請求につきまして、支払期日を過ぎておりますが、
本日時点でご入金の確認ができておりません。
請求書番号:0000
請 求 日:2026年7月1日
金 額:165,000円(税込)
支払期日:2026年7月31日
つきましては、2026年8月20日までにお支払い、または
お支払い予定日のご連絡をお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いにご入金いただいております場合は、
何とぞご容赦くださいますようお願いいたします。
敬具
責める言葉はひとつもありませんが、請求の事実・期日・次の行動は全部入っています。
場面別の書き方の例(そのまま使えます)
[ ] の中は、請求書の控えと入金記録で確かめた事実だけを入れてください。
① メールで送る一通目(期日から数日)
件名:お支払いのご確認(請求書番号[番号])
いつもお世話になっております。[会社名]の[氏名]です。
[日付]にお送りした請求書(番号[番号]・金額[金額]・支払期日[日付])につきまして、
本日時点でご入金の確認ができておりません。
恐れ入りますが、お支払い状況をご確認いただけますでしょうか。
本メールと行き違いでご入金いただいている場合は、ご容赦ください。
② 二通目(書面・新しい期日を示す)
[日付]の請求書(番号[番号])につきまして、[再度の確認日]時点で
ご入金の確認ができておりません。
つきましては、[新しい期日]までにお支払い、
またはお支払い予定日のご連絡をお願い申し上げます。
③ 相手から「支払う」と連絡が来たあと、また止まったとき
[日付]に[支払予定日]とのご連絡をいただきました件、
[確認日]時点でご入金の確認ができておりません。
ご事情がおありでしたら、お支払いが可能な時期をお聞かせください。
[期日]までにご連絡いただけない場合は、あらためて書面にてご連絡いたします。
④ 分割や延期の相談を受けるとき
お支払い時期についてのご相談、承知いたしました。
[提案内容]について社内で確認のうえ、[日付]までにご返答いたします。
なお、お支払い予定の内容は、書面(メール可)で残させてください。
口約束にしないのが、この段階でいちばん大事なところです。
⑤ 入金が確認できたときのお礼
ご入金を確認いたしました。ご対応ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
確認の連絡まで返すと、関係はむしろ強くなります。
督促状で気をつけたいこと
- 感情の言葉を入れる——「誠意が感じられません」は入金を早めません。事実と期日だけにします
- 行き違いへの一文を忘れる——すでに入金済みだった場合、信頼を失うのはこちらです
- 期日を書かない——「早急に」は人によって解釈が違います。日付で書きます
- 最初から強い手段に行く——段階を踏んだ記録自体が、あとで自分を守ります
- 電話だけで済ませる——言った言わないになります。書面やメールの記録を残します
- 発送直前の入金確認を飛ばす——書いている間の入金、よくあります
- 社内の承認を飛ばす——督促は会社としての行動です。出す前に上長へ一報を
社内向けの軽い催促なら、催促・リマインドの書き方のほうが場面に合います。
6. 使うときの注意
支払条件・遅延損害金・時効など、お金の請求には法律が関わります。この記事は一般的な書き方の説明で、法的な助言ではありません。金額が大きい場合、連絡が取れない場合、繰り返される場合は、早めに専門家へ相談してください。
各地の弁護士会の法律相談、商工会議所・商工会の経営相談などが利用できます。内容証明の作成前には、必ず専門家の確認を受けることをおすすめします。
実際の取引先名・金額・請求番号を一般向けAIへ入力しません。ひな形までで区切ります。
7. 今日できたこと
- 督促を「責める文」ではなく「事実と期日の連絡」として組み立てられた。
- 行き違いに備える一文の意味が分かった。
- 段階の上げ方と、記録の残し方が分かった。
- 発送直前の入金再確認を手順に入れられた。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:お金の催促は、頼む側やのに気まずい。おかしな話やけど、そういうもんや。せやからこそ、感情やのうて事実で書くんや。請求はこう、確認できてへん、次はこの日まで——それだけ淡々と伝えたら、大半はちゃんと動く。あんたは間違ったことしてへん。堂々と、丁寧に、や。
やさしいAI仕事術