1. 今日の相談
「取引先からの見積もりが予算を超えていて、値引きをお願いしたいのですが、『安くしてください』とだけ言うのは失礼な気がして、メールが書けません」
値引きの頼み方で相手が検討しやすいのは、こちらが出せる条件が書いてあるものです。数量を増やす、契約の期間を延ばす、支払いを早める、仕様を一部変える。条件があれば、相手は「それなら」と計算できます。
「予算が〇〇までなので」と範囲を伝えることも、相手にとっては判断の材料です。希望の金額を一方的に書くより、相手が案を出せる余地を残します。
2. 大丈夫です
ほー先輩:値引きの交渉は、頼み込むことやなくて、条件を出すことや。こっちが何を出せるかを先に書いたら、相手は検討できるんやで。
社内で、予算の上限と、譲れる条件(数量、期間、支払い、仕様)を先に決めます。決めずに交渉を始めると、相手の返事に対して社内に持ち帰る回数が増えます。
断られたときの案も持ちます。仕様を減らす、別の候補に依頼する、時期をずらす。案があると、交渉の文面が落ち着きます。
見積もりを取る段階は見積もり・相見積もりの依頼メールを、条件を盛らず誠実に書く、交渉の結果として依頼しない場合は見積もりを断るメールは、理由を盛らない——結論・お礼・今後の三行で終えるを使います。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTと、見積書、社内で決めた予算と譲れる条件の範囲です。
ChatGPTには、架空の練習例から空欄の型だけを作らせます。相手の会社名、見積金額、自社の予算の実額、他社の見積もりは入力しません。
4. 実際にやってみる
1. 社内で予算の上限と譲れる条件を決める
上限の金額、数量を増やせるか、期間を延ばせるか、支払いを早められるか、仕様で削れる部分はあるか。責任者と確認します。
2. 相手に出す条件を一つか二つ選ぶ
相手にとって価値のある条件を選びます。継続の見込み、まとめ発注、早期の支払いなどです。
3. 固定の練習例で空欄の型を作る
実在の企業や取引とは無関係な「町内読書会の会場利用料について、年間契約を条件に相談する」という固定の練習例だけを使い、
取引先へ値引きをお願いするメールの空欄の型を作ってください。
順番は「見積もりへのお礼」「予算の範囲(上限として)」「こちらが出せる条件(数量・期間・支払い・仕様から一つか二つ)」「検討のお願いと回答の希望日」です。
相手を比較する表現、他社の名前や金額、強い要求の表現は使わないでください。
会社名、担当者名、金額、日付は書かず、すべて空欄にしてください。
4. 回答の希望日を書く
相手も社内で検討します。「〇日までにご回答いただけますと幸いです」と、余裕のある日を書きます。
5. 返事が来たら、社内に持ち帰らずに済む範囲で答える
事前に決めた範囲内なら、その場で返事します。範囲を超える提案は、持ち帰ると伝え、期限を約束します。
5. 完成例
以下は架空例です。
件名:お見積もりのご相談([案件名])
[会社名]
[担当者名]様
お世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
このたびはお見積もりをご作成いただき、ありがとうございました。
社内で検討いたしましたところ、今回の予算は[金額]を上限としております。
つきましては、下記の条件でご検討いただくことは可能でしょうか。
・数量を[数量]から[数量]へ増やす
・お支払いを納品後[日数]以内とする
ご無理をお願いして恐縮ですが、[日付]までにご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
希望額でなく予算の上限を示し、こちらが出せる条件を二つ添えています。
6. 使うときの注意
値引きの要求が、相手の適正な利益を損なう水準にならないよう、相場と相手の事情を考えます。継続的な取引ほど、無理な値引きは関係を壊します。
社内の決裁が要る条件(支払い条件の変更、契約期間の延長)は、提示する前に承認を得ます。
合意した条件は、メールの本文か注文書に明記します。口頭の合意だけで進めません。注文書は、あとで揉めない項目から埋める——品名・数量・単価・納期・支払条件・連絡先の段階で条件を書き込みます。
7. 今日できたこと
- 予算の上限と譲れる条件を先に決められた。
- 出せる条件を添えて頼めた。
- 回答の希望日を書けた。
- 相手の会社名や金額をAIへ渡さずに済んだ。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:「安くして」は相手の利益を削る頼み方。「こう変えるので」は一緒に考える頼み方や。後者で頼んだ交渉は、断られても関係が残るで。
やさしいAI仕事術