1. 今日の相談
「保護者の方から来る質問って、けっこう同じなんです。『欠席のときはいつまでに連絡すればいいですか』『持ち物はどこに書いてありますか』とか。なのに毎回、返事をゼロから考えて、書いては消して……。この前は同じ質問に、先週と違うことを答えてないか不安になりました」
福祉や保育の現場、お店の窓口で、本当によく聞く相談です。よくある質問ほど、実は答えにくい。ちゃんと答えたいから丁寧に書く、丁寧に書くから時間がかかる、時間がかかるから返信が遅れて焦る。そして一番怖いのは、人や日によって答えがブレること。
この「毎回ゼロから」を今日で終わりにしたい、というのが今日の相談です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。まず、ええこと言うたるわ。同じ質問が何回も来るっちゅうことは、答えを「型」にできるっちゅうことや。型にできる仕事は、今日で楽になるで。
よくある質問への答えは、担当者の記憶や過去の返信だけで決めません。公開中の案内、承認済みの手順書、料金表、締切、例外、確認先を正本にします。
FAQは共通回答の入口です。個別事情、健康・家庭、契約、返金、安全等は共通回答だけで完結させず、確認先へつなぎます。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- 職場が承認したAI(利用する場合) … 実務と無関係な架空例から、FAQの空の文型だけを作ります。
できたひな型は、職場のルールに沿って、必要な人だけが見られるメモアプリや共有ファイルに置きましょう。
4. 実際にやってみる
順番にいきましょか。
ステップ1:正式資料と確認先を集める
公開中の案内、承認済みの手順書、料金表、連絡期限、例外、更新日、確認担当を集めます。過去の返信や担当者の記憶だけを正本にしません。
実際の問い合わせ文には、氏名を消しても、子ども・家族・健康・契約・日時・珍しい事情等から本人が分かる情報が残る場合があります。問い合わせ本文はAIへ貼らず、一般的な質問カテゴリを人が作ります。
ステップ2:実務と無関係な架空例で、空の文型を作る
次の実務と無関係な架空例を参考に、FAQの空の文型を作ってください。 各項目に「質問」「短い回答」「条件・例外」「確認先」「更新日」「確認者」の記入欄を作ってください。 手順、料金、期限、権限、個別対応を推測しないでください。 確認できない点は「要確認」としてください。 架空例の条件を完成した文型へ残さず、記入欄だけを出してください。
【架空例】地域の読書室で、本を返す箱と次回開室日の質問が多い。
コツは「毎回変わるところは( )に」の一文。これでひな型が「穴埋め式」になり、次から使うときに直す場所が一目で分かります。
ステップ3:正本と項目ごとに照合する
空の文型を職場で承認された文書へ移します。質問、回答、条件、例外、確認先を、承認済みの資料から人が記入し、一項目ずつ照合します。AIが加えた便利そうな期限、連絡方法、料金、配慮、個別対応は採用せず、未決定は「要確認」に戻します。責任者が公開範囲・更新日・更新担当まで確認してから使います。
ほー先輩:ひな型の言葉づかいはAIでええけど、ルールの中身はあなたの職場のもんや。最後のひと目が、この型に「公式」の判子を押すんやで。
5. 完成例
AIに作ってもらうのは、次のような空のひな型です。
【質問】(正式資料から人が記入)
【短い回答】(承認済みの案内から人が記入)
【条件・例外】(正式ルールから人が記入)
【確認先】(担当窓口を人が記入)
【更新日・確認者】(人が記入)
架空例の返却箱や開室日は完成した型へ残しません。実際の営業時間、料金、連絡方法、期限、例外は、空の型を承認済み文書へ移した後、正式資料から人が記入します。個別の健康状態や家庭事情を共通FAQで判断しません。
6. 使うときの注意
FAQのひな型を作る途中で、職場のルールが決まっていない箇所が見つかることがあります。その場合はAIに答えを作らせず、「要確認」として担当者へ確かめます。
すべての問い合わせを型で返せるわけではありません。個別の事情や例外を含む質問は、一件ずつ確認します。型に頼るのは「いつもの質問」だけ。どこまで共通回答にするかは、現場の担当者が決めます。
個人情報保護委員会は、生成AIへ個人情報を入力する際、利用目的の範囲、提供者による取扱い、利用規約・プライバシーポリシー等を確認するよう注意喚起しています。実問い合わせを仮名へ変えただけで入力可と判断しません。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- 正式資料、条件、例外、確認先をFAQの正本にできた。
- 実問い合わせや業務メモをAIへ渡さず、無関係な架空例から空の文型を作れた。
- 責任者、更新日、更新担当まで確認する手順を作れた。
来週また1つ質問が増えたら、同じやり方で型に足していけば大丈夫です。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:同じ質問が何回も来るんは、それだけみんながあなたを頼りにしてる証拠やで。答えを型にして、浮いた時間は目の前の人に使ったらええ。答えの型は、未来のあなたへの贈り物や。また増えたら持っといで。
やさしいAI仕事術