1. 今日の相談
「業務の進め方を変えたくて、上司に『提案書にまとめて』と言われました。書き始めたら資料が四枚になり、何を残せばよいのか分からなくなりました」
社内の提案書で読む人が知りたいのは、何に困っていて、何をどう変えると、いくらかかり、だめならどうするかです。この四つが一枚にあれば、判断できます。背景の説明や他社事例は、聞かれたときに補足します。
とくに効くのは「試す範囲とやめる条件」です。小さく試して、効果がなければ戻すと書いてあれば、読む人は許可を出しやすくなります。
2. 大丈夫です
ほー先輩:提案書は、あなたの熱意を見せる紙やないんや。読む人が「やる・やらん」を決められる紙や。やめる条件まで書いたら、逆に通りやすくなるで。
困りごとは一つに絞ります。二つ以上あると、案も費用も二倍になり、判断が止まります。
数字は、確認できたものだけを書きます。「月に約〇時間かかっている」は、実際に数えた期間と方法を添えます。推測の数字は、推測と分かる書き方にします。
改善の切り口そのものを考えるときは、小さな改善案を、試す場所・期間・見る変化・やめる条件に分けるも参考になります。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTと、確認できた数字(件数・かかっている時間・金額)です。
ChatGPTには、架空の練習例から一枚の空欄の型だけを作らせます。実際の業務内容、社内の人の名前、取引先、金額、社内で未公開の情報は入力しません。数字は、型ができてから自分で入れます。
4. 実際にやってみる
1. 困りごとを一文にする
「〇〇に、月〇時間かかっている」「〇〇のミスが月〇件ある」のように、数えられる形にします。数えていなければ、一週間だけ数えてから書きます。
2. 案を一つに絞る
複数の案があるなら、一番小さく試せるものを本命にし、他は「別案」として一行だけ残します。
3. 費用と手間を先に出す
道具の費用、準備にかかる時間、誰の手間が増えるか。ゼロなら「追加費用なし」と書きます。分からなければ「〇日までに見積もる」と書きます。
4. 固定の練習例で空欄の型を作る
実在の職場や人物とは無関係な「町内読書会の貸出記録を紙から一覧表へ変える」という固定の練習例だけを使い、
社内向けの一枚の提案書の空欄の型を作ってください。
順番は「件名」「いま困っていること(数えられる形で一文)」「提案する案(一つ)」「必要な費用と手間」「期待する効果(確認できる指標)」「試す範囲と期間」「やめる条件と戻し方」「別案(一行)」「提案日と提案者」です。
数字はすべて空欄にし、推測の数字を入れないでください。
一枚に収まる長さにしてください。
5. 試す範囲とやめる条件を書く
「〇月の一か月、〇〇の業務だけで試す」「効果が確認できなければ元に戻す」のように、範囲と期限と戻し方を書きます。この一行があると、提案の重さが軽くなります。
上司への説明の順番は、上司への相談メールを、状況・困りごと・お願いの3点で書くと同じ考え方です。
5. 完成例
以下は架空例です。数字は確認済みの前提の空欄です。
提案書:貸出記録の入力方法の見直し
1. いま困っていること
貸出記録の転記に、月[時間]かかっている([期間]に計測)。
2. 提案する案
貸出時にその場で一覧表へ入力し、月末の転記をなくす。
3. 必要な費用と手間
追加費用なし。入力の手順書作成に[時間](提案者が作成)。
4. 期待する効果
月末の転記時間を[時間]から[時間]へ。転記ミスの件数を月ごとに記録。
5. 試す範囲と期間
[月]の一か月、[対象]の貸出だけで試す。
6. やめる条件と戻し方
入力にかかる時間が転記より長ければ、翌月から元の方法へ戻す。
7. 別案
入力担当を一人に固定する(試す案で効果がなければ検討)。
提案日:[日付] 提案者:[部署][氏名]
困りごとと効果が同じ指標(転記の時間)で書かれているので、試したあとに比べられます。
6. 使うときの注意
数字の根拠(いつ、どう数えたか)を聞かれたら答えられるようにします。根拠のない数字は、提案全体の信用を下げます。
費用がかかる提案は、社内の決裁ルール(金額の上限、稟議の要否)を先に確かめます。稟議が要るなら、稟議書・社内申請の下書きを、目的と根拠から整えるへ進みます。
他の人の業務を変える提案は、その人に先に話してから出します。提案書で初めて知らされると、反対されやすくなります。
7. 今日できたこと
- 困りごとを数えられる一文にできた。
- 案を一つに絞り、費用と手間を先に書けた。
- 試す範囲とやめる条件を入れられた。
- 社内の未公開情報をAIへ渡さずに済んだ。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:通る提案書は、立派なやつやない。読んだ人が「それなら一か月試してみよか」と言える紙や。
やさしいAI仕事術